未経験から○ヶ月でフリーランスに!というWeb広告について、業務歴20年の私が思うこと

未経験から○ヶ月で フリーランスに! という広告について思うこと フリーランスエンジニア道
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この時期(正月)になると、「新しいことを始める」系の広告が賑やかになってくるのが恒例です。

その中でも「未経験から○ヶ月でフリーランスに!」というものをよく目にします。エンジニアバージョン、デザイナーバージョンなど、業種ごとに使われていますね。

Lara
Lara

これらを見る度、正直なんだかなぁーという気分になります。

フリーランス歴20年になる私にとって、これらの広告に対する印象はあまりよくありません。

実際のところ「未経験から○ヶ月でフリーランスエンジニア」はできますが、省略しすぎていて、誤解する人も出る表現と思います。

なぜ私がそう考えるのか、本ページで詳しく見ていきましょう。

未経験から○ヶ月でフリーランスになれるという言葉のトリック

ここではあえてトリックという表現を使いました。トリックとは、謀(はかりごと)・策略です。なぜなら、より多くの人にスクールに申し込ませる為の営業トークと感じるからです。

というわけで、まずはこの「未経験から○ヶ月でフリーランスになれる」という表現について解説します。

フリーランスはただの働き方の区別

そもそも、フリーランスというのはただの働き方の区別です。正社員やパート・アルバイトなどと、並列だとお考えください。

そしてフリーランスの定義は、個人で仕事をするという働き方です。雇われる働き方と違い、どの時点でフリーランスになったと言えるかは曖昧な部分があります。

例えば以下の様なタイミングが考えられるでしょうか。

  1. 自分はフリーランスだと宣言したとき
  2. 税務署に開業届けを出したとき
  3. 名刺を作った時
  4. 初めての案件をこなしたとき
  5. 始めて確定申告で税金を支払ったとき
  6. 安定して希望する収入を得られるようになったとき

あなたはどれだと思いますか?

私は、どれもフリーランスとしての側面があるように思います。

例えば最もハードルが低い1であっても、お客さんに「フリーランスエンジニアの○○と申します」と挨拶するのが自然ですし、なによりお客さんもフリーランスとして接してくれているはずですから。

なるだけなら最もハードルが低い

ということもあり、フリーランスは「なる」というハードルが最も低いです。スキルを他人から評価されることなく、自分からなることができるからです。

対して正社員など、企業に所属する働き方はどうでしょうか。

企業は基本的に即戦力を期待しますので、採用はシビアです。期待以下ならばっさりと紙(データ)の時点で切り落とされます。さらに面接まであるのですから……。

つまり真逆で、それなりの高いハードルがあります。

Lara
Lara

表面上の「未経験から○ヶ月でフリーランスになれる」よりも、企業に採用される方が難しいと思いますよ。

結果、表面上は誰でもフリーランスになれる

ですからエンジニアスクールが「未経験から○ヶ月でフリーランスになれる」と言うのは間違いではないと思います。

ですが3ヶ月や6ヶ月で、企業で即戦力になるほどのフリーランスエンジニアになれるとは私には考えられません。もともとの素養があり、よほどの天才なら分かりませんが……。

ですから、嘘にはならないけれど「なんだかなー」という気になるわけです。費用が安ければ良いですが、こういうのは大金ですからね。

スクールの中には終了時に「1度だけ仕事を斡旋&サポートする」という仕組みを採用していることがあります。穿った見方をすれば、これによりフリーランスとして仕事をした、やり遂げたという既成事実を作りあげているという意味合いもあるのかなと考えています(クレーム対策として)。

その後のフリーランスの現実

さて、「未経験から○ヶ月でフリーランスになれる」というスクールを完了・卒業したとしましょう。

その後もフリーランスで活動を希望する場合、どうなるかまでも考えてみたいと思います。

ここでは、本当の未経験から半年程度のスクールを完了したとしています。余程の天才などのケースは想定していません。

実績が無いので仕事が取りづらい

例えばスクールが1案件をこなすまで手伝ってくれたとします。もちろん、スキルは到底プロレベルとは言えないでしょう。そして実績も無いので大きな仕事は取れません。

ひいてはレベルが高くない安く小さい仕事を、コツコツとこなしていく人が多くなると思われます。例えばクラウドソーシングなどは定番ですね。

時間をかけて少しずつ実績を増やし、信用を積み重ねていくのです。

食えるまでは相当の時間がかかる

さらには、自分の望む収入を得られるようになるまでは、相当の時間を要することが多いと思われます。

例えば私の場合、「食える」収入が必要でしたが、最初はバイトと掛け持ちでした。バイトを完全に辞められるようになるまでに何年もかかったと思います(具体的には忘れました)。

フリーランスの世界は実力=収入ではないので、マーケティング力に優れた人や、人脈がある人は、この段階をうまくすっ飛ばしていくこともあるのかもしれません。しかし多く方はここでそこそこ時間を要するはずです。

一人前になるにはさらに時間がかかる

例えば「食える」ようになるまでの収入を得られたとします。

しかし、自信を持って仕事ができる。つまり一人前のエンジニアとして胸を張って仕事ができるまでには、年単位で時間がかかることが多いと思います。

私の場合、プロとして最低限の自信をもって仕事ができるように感じてきたのは5年~10年くらいです。それでも自分はまだまだという自覚がありました。

上級者になるには途方もない時間がかかる

そこから更に上級のエンジニアになるためには、途方もない時間がかかります。

ちなみに業界歴20年の私ですら、自分は上級だなんてなんて全く思っていません。謙遜しているわけではないですよ。

例えば本サイトのテーマであるPHPだとしても、私など平々凡々な並エンジニアです。例え業界歴20年という利があっても、その道のトップになど遠く及びません。

Lara
Lara

その代わり、フリーランスとしての総合力は自信がありますけどね。

つまり言いたいのは、スクールに通って「○ヶ月でフリーランス」を達成したとしても、本当の足がかり程度だということ。

先が途方もなく長いことをご認識ください。

スクールが向く人・そうでない人

ここまでで、私の言いたいことがちょっとだけお分りいただけたでしょうか?

とは言え一概にスクールを否定的な目で見ている訳ではありません。「未経験から○ヶ月でフリーランスに!」というようなスクールに向く人もいると私は考えています。

そんな人について、考えてみましょう。

向く人:コードを書いたことが無い人

「エンジニアになりたいけれどコードをほぼ書いたことが無い」ような人が現実にはいます。

楽しいからエンジニアになりたいのではなく、エンジニアになりたい(今の自分を変えたい等の理由)から学ぼうと決めるタイプの方です。

こういった方は、長期間モチベーションを保つのが難しいことがあるようです。

  • スクールにお金を払うことで誓約とする(高いほど強力)
  • 他人に教えてもらうことでハードルを下げる
  • 挫折を避ける

等などのメリットもあり、スクールもありなのではと思います。

特に意志が弱い方にとってはよいでしょう。

もちろん、それでも挫折する可能性は誰にもあります。

スクールが不要な人:コードを書くのが好きな人

すでに自分である程度コードを書いてきて「好き」という気持ちを持っている方にとっては、スクールは必要ではありません。

なぜなら基本的に、挫折というものが無いからです。スクールという枠にはめこまなくても、何も言われずともコードを書き続けるでしょう。

独学でもなんでも、何年かすれば自然と実力が身についているはずです。

例えば筋トレが好きな人は、ジムやパーソナルトレーナーに契約せずとも自分で必要なメニューを調べ・考えますよね。それができない人は、ジムに行きメニューを組んでもらえば良い……というのと同じです。

Lara
Lara

もちろん、それを理解した上でスクールに通うのも否定しません。他に、メンター(指導者)を雇う手もありますね。

まとめ

フリーランスは、なるのは簡単ですが、技術的には終わりが無い旅です。永遠に道は続きます。

ですから、「未経験から○ヶ月でフリーランスに!」という宣伝文句を見て、「これに通えば解決する」などとは思わないでください。フリーランスの最初の部分、ほんの足がかりの部分をサポートしてくれるだけです。

近年では、メンターと呼ばれる個人の指導者(要はパーソナルトレーナーのようなもの)を選択することも一案と思います。

私もこれまでたくさんのフリーランスをサポートしてきています。ご希望があればご連絡ください。

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